WooCommerce サイトの読み込み時間を把握することは、収益に直接影響するため重要です。例えば、少し古いデータですが、米国アマゾンの商品ページの読み込みが1秒遅くなると、1,672億円の損失になるという調査結果が公表されています。
また、ページの読み込み時間を短縮することは、コンバージョン率と検索エンジンの最適化(SEO)を高め、ページビューの増加から、カートの離脱を減らすなど様々な効果が期待することができます。
ページの読み込み速度をテストするには、Test my site、PageSpped Insignts などの無料のオンラインツールが利用できます。
いくつかのポイントを確認することで、WooCommerce サイトのページ読み込み改善することができます。
遅いサーバーを使用している
ホスティングサーバーのレンタル料は、様々なプランが用意されています。
まだオンラインでの商売を始めたばかりで、サイトでの収益が軌道に乗る前の段階では費用をかけたくないのは仕方がありません。しかし、サイトが順調に成長すれば、1年もしない間に、トラフィックとページの読み込み遅延で悩むことになります。
WooCommerce サイトを遅くする原因の1つに、WordPressが動作するサーバー(または運営する会社)が挙げられます。
ページの読み込みを抜本的に速くするには、よりパワフルなサーバーの力が必要です。もちろん、それなりの投資が必要になってきます。
- 共有ホスティングは利用しない
1台のサーバーを共有するプランは、メモリやネットワークの帯域幅を他のサイトと共有するため、共有している別のサイトに10,000人が接続している場合、影響を受けて他のサイトは確実に遅くなります。これは管理者がどれだけ対策をしても対処することができません。サイトのリソース使用状況は、cPanelまたはホストのダッシュボードにログインして確認することができます。 - 管理されたホスティングを使用する
少しコストが高くなりますが、1台のサーバーを利用するプランにすると、既に大量のトラフィックが発生しているような場合に効率的です。 - スケールアップできるプランを利用
リソースを一時的に拡張(スケールアップ)、縮小が可能なプランがある場合には、安いプランで初めてトラフィックなどで表示が遅くなってきたら段階的にリソースを拡張することができます。
コンテンツ配信ネットワークを使用していない
コンテンツ配信ネットワーク(CDN)を利用することは、サイトのパフォーマンスを改善する最も簡単な方法の1つです。
CDNは世界中に配置されたサーバーのネットワークであり、JavaScript、画像、CSSなどのWooCommerce サイトで利用するファイルを保存されています。

サイトを利用する顧客がCDNのサーバーに近いほど、ブラウザにコンテンツが速く読み込まれるため、サイトのパフォーマンスを向上させるのに役立ちます。 CDNは、サイトを利用する顧客が、世界中の各国に分散している場合に特に便利です。
CDNには次のようなサービスがあります。
CDNを利用するには次のようなポイントがあります。
CDNを導入する場合は、特にサイトへの訪問者がどの場所からアクセスしているかを調査することが重要です。最も多くのアクセスがある場所にCDNを設置することでサイトのパフォーマンスを大幅に改善することができます。
ほとんどのCDNは無料で利用できますが、既にサイトのパフォーマンスに影響が出ているような場合、より高速な有料のプランの方が効果があります。
キャッシュプラグインを使用していない
ページの読み込みに影響を与える画像データを一時的に保存したり、圧縮して通信するなどサイトから配信されるコンテンツを計量化するキャッシュ技術を利用することができます。
キャッシュプラグインは、利用者がサイトにアクセスした際にページ内の画像などが含まれたページ全体のデータを配信せずに、あらかじめ保存されたページの一部分を配信することで、サイトの負荷を軽減させ処理速度を向上させることができます。
しかし、キャッシュプラグインには便利ですが、問題が発生することがあります。
例えば、カートや支払いのページまでキャッシュされてしまうことで、利用者がカートに商品を追加したり、購入代金を支払うことができなくなることがあります。
キャッシュプラグインを利用する場合は、WooCommerce サイトでキャッシュから除外する機能やページを慎重に構成することが必要になります。
WooCommerce サイトで利用できるキャッシュプラグインにはW3 Total CacheとWP Rocketがあります。
画像サイズが最適化されていない
高解像度の写真はショッピングサイトにとって重要な要素であり、WooCommerce サイトでも同じことが言えます。特に、利用者に商品のギャラリーや、トップページにスライダーを使って紹介している場合には画像の読み込みが原因になっている可能性があります。
ファイルサイズが大きい画像が原因の場合は、画像を最適化することで解決することができます。
画像を最適化するには次のような方法があります。
- 適切なサイズでアップロード
画像ファイルをそのまま利用せずに、実際にページで表示される縦横寸法に画像を縮小してからアップロードすることで、表示される際に無駄に大きなファイルの読み込みが無くなります。 - 画像を圧縮するプラグインを利用
EWWW Image Optimizer(無料)、WPSmushit、Imagifyなどのプラグインを使用することで画像の品質に影響を与えることなくデータを削減することができます。
また、画像編集ソフトウェアに慣れている場合は、ファイルを直接最適化することもできます。例えば、Photoshopの「Web用に保存」では最適化された形で画像ファイルを保存することができます。 他にも、Gimp、TinyPNG、JPEG miniにも同様の機能があります。
データベースが最適化されていない
WooCommerce サイトでは、WordPressで利用しているデータベースに商品、注文、設定など、非常に多くのデータが保存されていきます。
公開した直後は、保存されているデータが少なく、ページの読み込みには影響が出なくても、サイトの商品数や注文履歴などのデータが増えてくると、データベースがパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
データベースによる読み込みを改善するには、最適化をする必要があります。この作業は、通常サーバーのcPanelなどを使用して直接実行することができますが、プラグインを利用して自動化することができます。
最適化を自動化する次のようなプラグインがあります。
どちらのプラグインもデータベースのリビジョンや、重複するデータを削除して最適化します。
その他にも、使わないアカウントなどを自動的に削除するオプションがあり、データベースのパフォーマンスを改善する以外にも、プライバシーやセキュリティの観点から利用することができます。
また、プラグインを使用する前には万一に備えて、サイトとファイルのバックアップを取るようにします。
テーマが最適化されていない
ページのスタイルを構成するテーマもサイトの読み込みに影響を与えます。
WordPressでは多くのサードパーティ製のテーマが利用可能であり、これらのいくつかは特定のレイアウトや機能を実現するために多くのカスタムコードが入っています。
テーマを選択する際に、重要なポイントにテーマが適切にコーディングされ、WordPressのガイドラインに従っていることが挙げられます。ガイドラインに沿っていないテーマの場合は、サイトの表示が遅くなる可能性があります。
また、テーマがページの読み込みに影響を与えているかを確認する簡単なテストは、バックアップを作成して、デフォルトのWordPressテーマに切り替えることです。
デフォルトのテーマは、WordPressに最適化されたテーマなので、切り替え後に読み込みが改善されれば、原因がテーマにあることがわかります。
WooCommerceに対応したテーマを探すには Storefrontを使います。
プラグインが最適化されていない
WordPressやWooCommerceの機能を拡張するプラグインがパフォーマンスに影響を与えている場合があります。
例えば、多くの種類のプラグインをサイトで利用している場合、すべてのプラグインを一旦、無効化し、1つずつプラグインを有効化していき、ページの読み込みを調べていくことで、影響を与えているプラグインを特定することができます。
また、プラグインオーガナイザーを利用することで、プラグインの有効化を制御してページや投稿記事、利用デバイスによってプラグインの切り替えができます。
サイトで実行されているプラグインの数とストアの速度の間には関連性はありません。サイトをダウンさせる無用な機能が満載された1つのプラグインより、十分にコード化された10個のプラグインの方が優れている場合もあります。
重要なのは、不要になったプラグインを放置せずに無効にするか削除してください。サイトで利用するプラグインを減らすことで、サイトのパフォーマンスに影響を与えている機能拡張を見つけやすくなります。
最新のPHPバージョンを利用していない
WordPressはサーバー上で動作するPHP言語で開発されています。
古いPHPを利用している場合には最新のバージョンに更新すると、サイトのパフォーマンスが向上する可能性があります。 例えば、最新のPHP 7では、以前のバージョン(5.6など)より2〜3倍高速で実行されます。
PHPのバージョンはWordPressの管理画面ではなく、サーバー上で更新します。通常、サーバーの管理画面(cPanelなど)で利用可能なモジュール設定を行います。
プロバイダーによって設定する方法が異なるので、管理画面に無い場合にはホスティングプロバイダーに確認する必要があります。
また、PHPバージョンを更新する前に、テスト用の環境を用意して動作確認をすることで、プラグインなどの変更後の不具合などを事前に確認することができます。
サイトが遅くなる原因と解決策
WooCommerce サイトの表示が遅くなる一般的な問題について説明しましたが、実際に、遅くなるタイミングや頻度によっても考えられる原因を特定することができます。
例えば、最近になって急にパフォーマンスが悪くなったような場合には、その時期に導入したプラグインやテーマに原因がある可能性が考えらえます。利用者数の急増によってパフォーマンスが落ちているような場合には、データベースの肥大化や、サーバーの能力に原因が考えられます。
また、原因は1つではないこともあります。複数の原因が影響して、複合的にサイトのパフォーマンスを低下させる場合もあります。
ページの表示速度は、コンバージョン率とSEO、売上などに影響を与えるのでサイトを管理する際に重要な要素です。そのためには、プラグインやテーマを最新の状態で最適化を保持して、それでもパフォーマンスが落ちているような場合には、サーバーの能力を上げる手立てを常に考えておく必要があります。
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